「……どうよ、今回の新曲」


歌い終えたお兄ちゃんが、ドヤ顔で私に尋ねてくる。


なので私はいつものように率直な感想を伝えた。


「うん、メロディーは綺麗だと思う。でも、歌詞がちょっと、ベタっていうか……」


「はぁ?なんでだよ。今回の歌詞は渾身の力作だぜ?俺的に最強のラブソングができたと思ってたのに。これ歌われたらどんな女も落ちるだろー、絶対」


「えー、私は嫌だな……」


「なんだとー?」


渋い顔で否定した私の頭をお兄ちゃんが軽くチョップする。


そして、そのまま私の髪の毛をわしゃわしゃとかき乱した。


「ひゃあっ!」


「ったく、お前は相変わらず手厳しいよな~。まぁいいけけどさ。お前も小説ばっか読んでないで、そろそろ彼氏の一人くらいつくれよ」


「わ、わかってるってば~」


私がこたえると、お兄ちゃんが私の頭からパッと手を離す。


「いい感じのやつとかいないわけ?ほら、今度夏祭りもあるしさー、たまにはデートくらいしろよ。夏休み彼氏いないとつまんねぇぞ」