【完】キミさえいれば、なにもいらない。

見ていると、やっぱり鈴森さんは彼にとって、その他大勢の女の子とは違うように見える。特別っていうか……。


仲良さげに話す二人を見て、何とも言えない気持ちになる。


私ったら、何で急に二人のことが気になってるんだろう。変なの。


胸の奥が少しモヤモヤして、なんだか落ち着かなくて。


だけど、気のせいだと思い、二人から目をそらそうとしたら、その時ふとこちらを向いた鈴森さんと目が合った。


あっ……。


やだ。ジロジロ見てるって思われたかな。


鈴森さんは私の姿に気が付いた途端、急にムッとした表情になる。


そして次の瞬間、見せつけるかのように、急に彼方くんの腕に自分の腕を絡めると、再び私のほうをじっと見てきた。


睨むようなその視線に、胸の奥がぞわっとする。


まるで、敵意でも向けられているような感じだ。


なんだろう。私、鈴森さんとは特に面識はないはずなんだけど……。


もしかして、さっきのお昼休み、彼方くんが私と一緒にお昼を食べようとしたところを見られたから、そのせいかな?


そう考えると、思い当たる節がないわけではないけれど。


いきなりそんなふうに睨まれて、すごく戸惑ってしまった。