【完】キミさえいれば、なにもいらない。

彼女のいるほうに目をやると、プレーする彼方くんに手を振りながら大声で応援している。


あらためてよく見てみると、すごく可愛いなぁ……。


華やかで目を引くし、明るいし、彼方くんの隣に並ぶには、ああいう子がぴったりだなって思う。


それなのに、彼方くんはどうして地味で目立たない私なんかに興味を持ってくれたんだろう。


いまだにそこは理解できないな。


――ピーッ!


ホイッスルの音が鳴って、男子チームの試合が終了すると、一部の女子たちが人気のある男子の元へ一斉に駆け寄っていった。


もちろん、彼方くんも例外ではない。


たくさんの女の子たちに取り囲まれている彼を遠目で見ながら、相変わらずすごいなぁと感心してしまう。


彼方くんは自分がモテるのを自覚しているみたいだったけど、あれだけ騒がれたら、自覚せざるを得ないよね。


こうして見るとやっぱり、住む世界が違うかのように見えてしまう。


すると、そんなハーレム状態の彼方くんの元に鈴森さんがやってきて、彼の肩をポンと叩くのが見えた。


話しかけられて、彼女に笑顔を向ける彼方くん。