「あ、ほらっ。呼んでるよ」


慌てて彼方くんに声をかける私。


すると彼は私に「ちょっと待ってて」と告げると、鈴森さんたちのいるほうへと走っていった。


そして何を思ったのか、突然みんなに向かって両手を合わせると、申し訳なさそうな顔をして。


「なぁ、ごめん。俺、やっぱパス!今日は俺抜きで食いに行っていいよ!」


……えっ?


思いがけないことを言い出すものだから、ビックリして箸を落としそうになってしまった。


ちょっと待って。なんでみんなに断っちゃうの?


まさか、私と一緒に食べるつもりとか?


もしかして、私が一人だから……。


「はぁ!?ちょっと、なにそれー!さっき彼方も屋上で食べるって言ってたじゃん」


鈴森さんはそんな彼方くんにちょっと怒っている。


「わりぃわりぃ!ごめんな。俺気まぐれだから。またあとで合流する!」


「もう、彼方のバカーッ!」


彼方くんは鈴森さんに笑いながら「ごめんごめん」と何度も謝ると、そのまま彼女たちに背を向けて私のほうへと再び戻ってきた。