【完】キミさえいれば、なにもいらない。

曲を最後まで弾き終わると、陸斗先輩は振り返って、ニッコリ笑いかけてくれた。


私はその瞬間、心臓がドクンと勢いよく飛び跳ねたのを覚えてる。


胸が熱くなって、頭がボーっとして、しばらくそこから動けなくて。


ずっと憧れの存在だった彼だけれど、その瞬間、この人のことをもっと知りたい、もっと近づきたい、そんな感情が芽生えてしまった。


まだ、恋がどんなものかもよくわからなかった頃。


小説の中でしか、恋を知らなかった私が、はじめてリアルで男の人に恋心を抱いた。


そう。それが私の初恋だった――。