『一ノ瀬くんってなんか、チャラチャラしてる』


もしかして、私があんなこと言ったから?


それでわざわざ、髪まで切ってきたの?


信じられない……。


「雪菜に言われたから、イメチェンしてみた」


案の定そう言われて、何とも言えない複雑な気持ちになる。


「ウ、ウソ。なんで……」


「だって、少しでも雪菜に信用してもらいたいし」


「だからって、別にそこまでしなくても……」


私が戸惑っていると、一ノ瀬くんがいつものように私の前の席のイスを引いて、腰かける。


そして、片手で自分の髪をつまみあげながら、はにかむように笑った。


「でも、意外とこの髪型似合うってみんなに言われたぜ?」


そんなふうに言う彼は、意外にも元気そう。


確かに、髪型はすごく似合ってると思う。


もしかしたら前よりも、爽やかでカッコよく見えるかもしれない。


でも、普通わざわざそこまでするかな?


しないよね?


仮にも私、彼のこと振ったのに……。