【完】キミさえいれば、なにもいらない。

本気なのかな?


そういうの、誰にでも言ってるんじゃなくて?


「本当だよ。どうしたら俺のこと好きになってくれる?」


そう問いかけられて、言葉に詰まる私。


一ノ瀬くんの表情は、真剣そのものだ。


本気でそう言ってくれているようにも見える。


だけど、それを信用できるかって言ったら……できない。


男の子の言うことなんて……。


一瞬、陸斗先輩の顔が頭に浮かぶ。


陸斗先輩だってそう。誠実だと思っていた彼は、結局私をもてあそんでいただけだった。


一ノ瀬くんも悪い人じゃないってことは分かってるけど、別に異性として好きなわけではないし。


それにやっぱりチャラそうだし、たくさん遊んでそうだし。


彼と付き合うなんて、私にはやっぱり……。


緊張した面持ちでこちらを見つめる彼に向かって、重たい口を開く。


「……ご、ごめんなさい」


そう告げた途端、一ノ瀬くんの表情がピシッと固まったのがわかった。


「えっ……」


「とにかく私は、誰とも付き合うつもりなんてないから」