【完】キミさえいれば、なにもいらない。

急に目を泳がせたりして、その様子はなんだか緊張しているかのようで。


みるみるうちに顔が赤くなっていく。


だけど、次の瞬間決意したように、再び私と目を合わせたかと思うと、彼ははっきりとこう言った。


「好きです。俺と付き合ってください」


その言葉に、再び心臓がドクンと大きな音を立てて飛び跳ねる。


「えっ……」


信じられなかった。


まさか彼が、こんなふうに真面目に告白してくるなんて。


「ウ、ウソ……。本気で言ってるの?」


おそるおそる尋ねたら、ハッキリとうなずく一ノ瀬くん。


「うん、本気だよ。一目惚れしたんだ。あの日、俺のこと助けてくれた時。すげぇ嬉しかった。あの時から俺、雪菜のことばっかり考えてる」


ウソ……。


「好きなんだ。付き合ってほしい」


一ノ瀬くんはまっすぐ私の目を見ながら話す。


その瞳はとても真剣で、とても嘘を言っているようには見えなかった。