【完】キミさえいれば、なにもいらない。

「何で元気ないのかは知らないけどさ、俺はいつでも雪菜の味方だから。俺でよかったら、頼ってよ」


「……っ」


「なっ?」


そんなふうに言われて、不覚にも胸がじーんとしてしまった私は、なんて単純なんだろう。


バカだな。少し優しくされたくらいで。


でも、弱っているときにこういうことを言われると、なんだか泣きそうになる。


それと同時に、ますます疑問がわいてくる。


一ノ瀬くんは一体、何を考えているの?


この優しい言葉も全部、彼の本心なのかな……。


もしもこれが偽りの優しさなら、私はいらないのに。


そう思ったらつい、聞いてしまった。


「なん、で……」


顔を上げ、そっと彼の手から手を離す。


「どうして、一ノ瀬くんは私に構うの?」


「え?」


やっぱりわからないよ。


どうして私なんかに……。


すると彼は真顔で答える。


「どうしてって……。そりゃ、雪菜のことが好きだからだろ」


「なっ!」