【完】キミさえいれば、なにもいらない。

私と同じようなことを思ってたみたいで、思わずうんうんと深くうなずいてしまった。


それにしても、こんなふうに陸斗先輩と二人で取り残されちゃうなんて。


どうしよう……。ちょっと気まずい。


ここ最近二人で話すことなんてなかったからな。


とりあえず当番もあるし、図書室に急ごう。


そう思って陸斗先輩に声をかけようとした時、彼が急に私の肩にポンと手を置いてきて。


「ふっ。なんか久しぶりだな、雪菜」


その言葉に思わず心臓がドクンと音を立てる。


彼のほうからこんなふうに笑顔で話しかけてくるとは思わなかったので、すごく動揺してしまった。


「え……あ、うん」


正直、なんて答えたらいいのかわからない。


今さら何を話せばいいんだろう。


「図書委員やってるんだ?」


目を合わせようとしない私に、陸斗先輩は構わず話しかけてくる。


「う、うん」


「雪菜にぴったりじゃん。読書好きだもんな。最近話してなかったけど、どう?元気にしてた?」