【完】キミさえいれば、なにもいらない。

「はーい。あぁ、リカ? 今ね、陸斗といる。うん、まだ学校だよ。……えっ、マジ?わかった。今すぐ行く」


その様子から見てどうやら、女の子から電話がかかってきたみたいだ。


お兄ちゃんはすぐに電話を切ると、急に私と陸斗先輩からサッと離れる。


「それじゃ俺、デートの約束入っちゃったから、先帰るわ」


「え……っ」


なんと、さっそく電話相手の女の子に会いに行くみたい。


相変わらずのプレイボーイっぷりに唖然としてしまう。


そのまま彼はひらひらと手を振ったかと思うと、機嫌よさそうに去っていった。


まったく……。


なんだかもう、呆れて言葉も出ないよ。


お兄ちゃんたら、殴られても結局何も反省してないんだなぁ。


まぁもう、お兄ちゃんの女好きは一生治らないような気もするけど。


すると、その様子を見ていた陸斗先輩が、隣でボソッと一言。


「遥の奴、相変わらずだな」