ひととおり悪口を言ってバカにしたように笑うと、彼女たちは昇降口の中へと入っていく。


私はすぐにそのあとをついていくことはできず、そのまましばらくその場で固まったように突っ立っていた。


なんだろう。私、何か悪いことでもしたかな？


一ノ瀬くんと少し親しくなっただけで、どうしてそこまで言われなくちゃいけないんだろう……。


胸の奥がモヤモヤして、苦しい。


たしかに一ノ瀬くんはみんなのアイドルみたいな存在だし、そんな彼とたびたび絡んでいたら、よく思わない人もいるだろうなってことはわかってたけど。


いざ悪口を言われているのを耳にすると、やっぱり傷つく。


べつに自分が一ノ瀬くんに似合わないとか、釣り合わないと思われるのは構わない。


もちろん私だって、彼とどうにかなりたいなんてことは最初から思っていないし。


だけど彼女たちの言葉で、私は自分のコンプレックスを刺激されたというか、自分自身を否定されたような気がして、なんだかとても悲しくなった。