最近俺が雪菜にすすめられて本を読むようになってから、雪菜は前より俺に話してくれるようになった。


本の話をするときの雪菜はすごく楽しそうだし、イキイキしてる。


そんな彼女を見ていると、俺もなんだか嬉しくなる。


「面白い?」


「うん」


いつものように雪菜の机に頬杖をつきながら、読書をする彼女をじっと見つめる。


近づくと、彼女のサラサラの長い髪からはほんのりとシャンプーのいい香りがして、思わず触りたくなる。


だけど、あまり気安く触れるわけにもいかないから、ただじっと見ていた。


雪菜には、触れるのもちょっと緊張するんだ。


それに、見てるだけでも別に、退屈じゃない。


こんなふうにそばにいられるのがただ嬉しい、なんて思ってしまう。


すると、ふいに雪菜がパッと顔を上げて。


目が合ったと思ったら、次の瞬間なぜか彼女は目を大きく見開いた。