『お前さ、結局本気になれなくて別れるんだったら、相手のこと傷つけるだけなんだから、もうやめたら? お前はまだ本気で誰かを好きになったことがないんだよ』


環はクールでちょっと不愛想だけど、本当に信用できるいい奴だ。


俺のことを誰よりもわかっているであろうこいつに言われたこの一言は、俺の胸にグサッと突き刺さった。


環の言うことは、もっともだったと思う。


俺は結局受け身で、飽きっぽくて、たぶん今まで一度も相手のことを本気で好きになれたことがなかった。


自分から告白したことだって一度もなかったし。


それで結局最終的には傷つけてしまっていたのかもしれない。


もう同じようなことを繰り返すのはやめよう。


そう思った俺は、それ以来、告白にOKするのをやめた。高校二年生になったあたりからは、一切彼女をつくらなくなった。


それはそれで、毎日が自由で楽しかった。