「なぁ、お前に言われたように言ってきたけど」
「お、サンキュー」
小袋を吊戯さんから貰った來斗さんは、
「これ、何かわかるか?」
小袋の中身の紙の破片を、私に渡してきた。
「これは……」
私の見間違いかな?
「ま、まさか、離婚届……?」
「その通り。見つけた瞬間、破り捨てた」
「なんで!?」
離婚したいなら、してくれれば良かったのに!
「言っただろ?お前のことは嫌いじゃないんだよ。嫌いなのは、家」
「知ってたけど……っ!」
「逃げようか」
「へ?」
「全てを捨てて、俺が遠くに逃げるって言ったら……哀華、お前はついてきてくれるか?」
そっと、手を握られる。
家が怖い。
でも、彼みたいに嫌いになることは許されない。
逃げたかったところ。
あなたに会う時だけ、私は日々を忘れられた。
あなたの笑顔が、私の光だった。
だから。
「……私たちが逃げて、誰も傷つかない?」
見上げると、彼は柔らかく笑って。
「世界中回ってみる?」
夢見た、外の世界。
「美味しいご飯とか、世界順のお祭りとか、見てみたいな。それと、友達もほしい!」
「ああ。そうだな、いっぱい食べたり、見たりしようか。友達は目指せ、1000人だな」
「1000人!?」
「ワクワクするだろ?未来の予定を立てるのは」
コクコクと、私は首を縦に振った。


