高校二年生に進級したばかりのある日。



俺、中村大吾(なかむら だいご)は放課後の教室にいた。


クラスメイトはもう皆、帰るか部活に行くかしており、

教室に残っているのは俺とクラス委員をしている女子、副島柚希(そえじま ゆずき)の二人だ。



副島から話があると言われ、俺たちは向かい合って立っている。


開けた窓から入る風が俺と副島の間を通り抜ける。


副島の肩より長い髪の毛がほんの少し風に絡め取られる。


窓側に面したグラウンドからは、野球部のランニングしているかけ声が聞こえる。



副島は髪の毛のことも気にせず、何やら真剣なまなざしで一心に俺を見ていた。


その顔を見て、ごくりと唾を飲み込む。