「お節介な女の子と何かあったのかしら?いつも生気のなく機械みたいな貴方が人間に見えるわよ」
「さらりと失礼な事言ってくれますね」
「それに・・・、色気も増してるし」
そんな事を呟くと色味は無いのに艶やかな爪の指先が、俺の頬を滑り下りてから顎をクッと持ち上げる。
悪戯な仕草に従って視線を絡めると、一呼吸の間にじっと見つめてから反応を返した。
「すみません。美人でも親子程歳の違う人には興味が・・・」
「ま、嫌味な子ねぇ。私だってあんたみたいなお子様のそれに満足したりしないわよ」
「そっちも言ってくれますね。・・・それに下品です」
やや呆れて日中に三親等で繋がる叔母と甥の話で無いと非難すれば、クスクス実に愉快そうに笑う彼女。
でも、本当に俺に言いたい事はこんな低劣な会話で無いと理解している。
あえて無視して気がつかずのフリをするのは、彼女の要望に応えたくないから。
スッと失礼で無い程度に顎に触れていた手を払うとパソコンの文字に意識を移す。
まぁ、逃げられる筈もないのだが、、
「もう、望ちゃん。焦らしっこなしでしょ~?」
「・・・ちゃんづけされる様な歳じゃないです」
「あら、まだ無駄な抵抗?」
「無駄かどうかはやってみてから判断してるんで、」
「じゃあ、遠慮なく無駄にするわよ。
・・・会わせなさいよ、四季ちゃんて子に」
誤魔化しもなく名前まで響かせてきた声に視線だけ走らせ直ぐに外す。
いつかは言いだすだろうと予測はついていたから驚きもしないが、
「会わせる義理は無いと思いますが?」
「会わせない理由も無いでしょう?」
なんて面倒な叔母だろう。
興味を抱くとそれを成し遂げるまでしつこく食いつくこの厄介さ。
そしてこうなると下手な偽りや誤魔化しなんて通用しない。
勝ち誇り微笑む姿に引く姿勢は見えず、深い溜め息を内心でつくと本音である言葉を口から漏らした。
「自分の気にいっている愛玩品を、同じ趣向の人間に無防備に自慢する様な男に見えますか?」



