世界一きらいな彼


いつも通りカズくんに案内されて診察室の椅子に座る。

隣からは嫌いな亮くんの声が聞こえてくる。

「まなちゃん、もっとお口大きくだよ。痛いかどもうちょっと我慢だよ」

そんな声と子供の泣き声が聞こえてきて、次は自分かと思うと逃げ出したくなる。

そんな自分と心の中で葛藤してたら、いつの間にか隣の椅子に腰掛けてる亮くん。

「ちゃんと来てくれたんだね。来なくて本当に同棲解消になったらどうしようかと思ったよ」

朝の不機嫌な亮くんとは違って優しい声の亮くん。

でもゴム手袋にスクラブにマスクに顔つきが完全に歯医者さんモードに入ってて、やっぱりここで会う亮くんは好きになれない。

そんなこと思ってる間にも椅子は倒されて戦いの時間だ…