-めいサイド-
結局カズくんに引っ張られて、いつの間にか診察室の私の特等席。1番奥の椅子に座っている。
「他の患者さんの処置終わったら亮来るから待ってて。言っとくけど、ここまで来たら逃げられないんだから、おとなしく待ってろよ」
カズくんはそう言い残し、忙しそうにどこかへ行ってしまった。
確かに今だったらいつでも逃げ出せる状況ではあるけど、そんな勇気ない
周りから機械の嫌な音が聞こえてきて耳を塞ぎたくなる。
10分くらいそわそわしながら待ってたら亮くんが来た。
「ごめん、お待たせ。」
「…うん。…今日は急にごめんなさい」
「何言ってんの。いいよ別に。でも今日は自分からSOS出せてえらかったね?」
そう言って頭を撫でてくれる。
緊張が少しずつほぐれていく。

