「…いや…やっぱりなんでもないっていうか…忘れちゃった…へへへ」

なんか今更言いにくくなって、くるしまぎれに笑いながらごまかす。

「いや絶対嘘でしょ。俺に電話なんて何年もしてきてないのに、よっぽどの用だったんじゃないの??」

やっぱり亮くんに隠し事はできない

「…うん。…あのね…」

「うん」

優しい相づちが聞こえてくる

「…歯茎がすごく腫れてて…なんか痛くて…」

「この前いじったところ??」

亮くんの声が歯医者さんモードに入ったように真剣になる。

「…うん」

「いつから??」

「…今日の朝。…これ次の受診日まで様子見てていい…よね…??」

亮くんの声を聞いてたら安心するけど、やっぱり歯医者には行きたくなくて…
答えなんてわかってるけど、様子見てていいよっていう一言を期待している自分がいる。