中に入ると、大っ嫌いな歯医者の独特な匂いが鼻にツンとくる。
待合室には誰もいず、診察室の中の方からも音は全然しない。
やっぱりもう診察終わりかな…?
そう不安になりながら、受付の人へ声をかける。
「…あの…すいません。今から見てもらえませんか。歯が痛くて…」
震える声で訴える。
受付の人も困った顔をしている。
「申し訳ございません。本日の診察はもう終わりまして…」
予想してた返答。
けどもう痛すぎてここで引き下がるわけには行かない!
もういろんな思いがこみ上げてきて、涙ながらに訴える。
「すいません!迷惑なのはわかってるんですけど…もう我慢できなくて!泣 あの…亮くん!木村亮くん、呼んでいただけませんか!?」
「…少々お待ちいただけますか」
迷惑そうな顔をしながらも私の気迫に負けたのか、確認しに行ってくれた。