<side 佐々>


「…眠みぃ~……」


そのまま教室の机に突っ伏した。

寝不足もだけど、昨日はさすがに精神的に疲れた。

おもむろに手に持ったスマホの画面を開く。

着歴はない。


「あ~っ!!マジ、だりぃ……!」


スマホを抱きかかえるようにして、机に顔をうずめる。


「佐々く~ん。どぉしたの~?」

「ねぇ、ねぇ、私が保健室連れてったげよっか~?」


クラスのオンナが何人か声をかけてきたけど、今は相手したくねぇ。


「へーきだよ。ありがとな」


顔も上げずに、手だけ振って答えると、


「きゃあぁぁ~~~っ!!」


悲鳴があがった。

うるせぇ~…。

どっからでてんだ、その声。


――花美は……


そう、花美は “きゃ~”っていうか、

“あわわわわわ…”とか“ひぃい!”とか、

カワイイくせに、なんだか、わけわかんねぇ変な驚き方するんだよな。

ベッドの上で、涙目で慌てふためいてる花美の姿が、鮮明に蘇る。


――花美…


声に出さず、その名をつぶやく。

それだけで、身体が微熱を帯びてくる。

ヤバい…

今すぐ抱きしめたい……


なのに、あのバカ……

なんで、連絡よこさねぇんだよ!

信じらんねぇ!!