翌日。
気が向かないが、功の家へ向かう。


「功。お、起きて…」


そう言って功の肩に遠慮気味に
そっと触れる。
いつもならこれだと起きないけど
功は早く目を覚ました。


「梨乃。おはよう。」

功は目をこすり、眠そうにする。



「うん。」


昨日のことを思い出して、
しばらく俯いていると。


「昨日は、色々とごめん。」


「うん、私もごめん、」


「…ねえ梨乃、
あいつじゃなくて僕だけを見てよ。」


「えっ?」


「じゃあ、僕寝るね。」


「え?( ˙-˙ )」


功はそう言って颯爽と体をベッドに預ける。




あいつじゃなくて、僕だけを…

その言葉は、昨日の言葉と傷ついた心を癒すには十分すぎるくらいで…


じゃ寝るね。なんて言って、
いつもの能天気に戻って、私を困らせる功。


「んもう!功、大好き!」


私は寝ているまんまの功をベットに入って抱きしめる。


「何?梨乃さん、どうしちゃったの?」

功が珍しく慌ててる。


「んー、
今は放してあげない。
もう少しこのまんまでいて。」


「え、僕かなり悶えてるんだけど。
聞いてる?梨乃さん?」


「んーん。聞いてない。」

功の背中だ。あったかい。

一人でその言葉に浸っていると…

功は「はあ、仕方ないなあ」とため息をつき、私を正面から抱きすくめる。


「功?動けない…苦しい…」


「勝手にそんなことする梨乃が悪いの。
大体男のベッドに入って来るなんて、隙ありすぎだから。」


功が私の肩に顔を埋める。

「僕から離れちゃだめだよ。梨乃。」


「………。功が甘い…」


「何言ってんの?梨乃かーわいっ 」



そう言って功は私の額と功の額をくっつける。

何というか、
距離が本当に近くて功を近くで感じられて、
とってもドキドキするし、安心する。


しばらくこうしていたのは、言うまでもない。