阿久津 七瀬 side

俺が思いを寄せる梨乃ちゃんは、
他の子とは違う。


最初は興味本位。

俺の笑顔が嘘っぽいなんて言われたのは初めてだった。


俺は確かに、顔見て理想押し付ける女子たちに呆れて、でもやっぱり周りを気にして笑顔を振りまく。


まさに、嘘っぽい。図星だった。


この子、面白い。

そんな風に思ってた。



俺が教室に行けば、
慌てて…でも笑顔で話してくれた。

色素が薄いからか、
栗色に近いセミロングの髪。


透き通った白肌に、華奢な肩。


それにグロスでいつも潤う唇。


タイプと言える外見ではなかったにしろ、
かなり可愛い。


相当な勢いで、俺は彼女に惹かれていった。


でもその子には、幼馴染の高橋功というのがいる。


それに、
梨乃ちゃんは功のことが好きらしい。


功のやつ、俺に最初なんて言ったと思う?

「幼馴染です。今のところは。」


完全威嚇だよね。

でも部活で見てても、功はいい奴だし俺の大切な後輩でもある。


だから宣戦布告だ。


ぜってえ、無理だけど。