在校生のお話で注目が集まったのは、

阿久津 七瀬 (あくつ ななせ)
という先輩。



爽やかに話し笑顔を振りまく彼の姿は、私もなぜか引き込まれるものがあった。


この人の笑顔、作り物みたい。




確かではないけれど、何となくそう感じたんだ。周りの女子はうっとりしている。


確かに阿久津先輩は
イケメンという類に入るのかもしれない。



「ね、梨乃。さっきから
あの先輩のことじっと見てるけど…」


「え?あ、そうかな。」



功に指摘されて、自分が阿久津先輩を凝視していたことに気づく。


「もしかして、好きになっちゃった?」


「ん?
もう功ったら、
どういう思考回路してるの?」


「だってあの先輩かっこいいもん。」


「そう?私は功の方が好きだけどなぁ。」


「…。」



あ、黙っちゃった。なんか変なこと言った?
照れてるのか。功は。

私はそんな功のほっぺたをツンツンつついた。