「さぁ飯食って仕事に行くぞ!」

あっそうだ!仕事!仕事!
ベットからおり、朝食のルームサービスを頼もうとしたとき、深刻そうな顔をして小野田さんは話し出した。

「梨華覚えてるか?」

「何をですか…」

「条件の話だけど…」

あっ会社を助けてくれる代わりに何か条件を出すとか何とか…

「彼奴ら人の気持ちなんておかまいなしだからな!?」

え?誰の事?

「自分達が幸せだからって、俺にまでその幸せとやらを押し付ける。
エゴ丸出しで、俺の幸せが何かなんて彼奴らにわかるわけ無いんだ!俺の領域に土足で踏み込んでくるなってんだ!梨華もな!?」

え…

「菱野に頼まれてるだろ?見合いのセッティング?」

あ…バレてたか…

何度か菱野専務に頼まれて、会食の段取りをしたことがある。昨夜もその一つだった。

「すいません…あっでも幸せの押し売りしようとか思ってませんよ?ただ人を好きになる事は素敵なことだ思うんです。恋人や家族、守るものがあれば人は強くもなるし、大きくもなる……と私は思います」

「じゃ、教えてよ?」

「守りたいほど好きになるって事、あんたが俺に教えてよ?
それがわかったら見合いでもなんでもして結婚してやるよ?
この話日本支社を救う条件に入れることにする。
さぁあんたはどうする?
自分の身を削って俺に愛とやらを教え、日本支社を救うか、それともこんな馬鹿げた話反故にして日本支社の全ての従業員を見捨てるか?
あっでも日本支社が無くなっても君の本社への移動は心配しなくてもそれは保証する。菱野と約束してるからな?」

「え?でもどうして急に…」

「いつも同じ夢を見るんだ。顔も知らない母親に捨てられる夢…それが嫌で眠らないようにしてた」

確かに小野田さんは、『お母さんいかないで…』ってうなされていた。

「でも、梨華となら悪夢をみずに寝れる…だから…」

「ちょ、ちょっと待ってください。言ってる意味がわからないです」

「簡単に言えば…俺の恋人になって欲しい」

「えっーー!?」

「あ、いや、誤解するな!さっきも言ったように教えて欲しいんだ?それが分かったら悪夢を見ないような気がする」

そんなものだろうか…
ちょっとショックな気もするが、それで、小野田さんが悪夢をみなくなれば良い。

「分かりました…協力させてもらいます。その代わり会社」

「会社のことはまかせろ」