18時を回る頃、一度マンションへ着替えに戻った。

「ボス、そろそろお時間です」

「梨華その格好は無いぞ?」

「なにか変ですか?」

化粧だけは直したけど……

「ホテルでの会食だぞ?それも三ツ星レストランへ行くのに、色気もなにもない仕事用のスーツって…」

頭を抱える小野田さんだが、何をそんなに頭を抱える事があるのか私には分からない。

「あの…会食もお仕事ですよね?」

「当然仕事だが…それはないだろ?他にましな物待ってないのか?」

仕事なら良いじゃない?
仕事だとしても、それがパーティとかなら、私も考える。
今回はそうでないし、あくまでボスのサポートとして、同席するのだ。

「ありません!」

「時間が無いから仕方ないか?じゃ、アクセサリーだけでも付けさせて貰う」

「??」

アクセサリーを付けさせて貰う?
え?プレゼント?

近付いてくる小野田さんへ

「プレゼントだなんて頂けません!」と両手を出しお断りした。

「頼むよ受け取ってくれ」

!?…

「っ……」

「まあまあかな?」と笑う小野田さんを睨み、私は急ぎ洗面所へと向かった。

「バッカー!!」

鏡に写る私の首もとには、ハッキリと判るキスマークが付けられていた。

「ボス!ど、どういうおつもりですか!?」

「いや、あまりにも地味な格好だったから、せめて首もとにアクセサリーをだな?」

「キスマークがアクセサリーですか!?」

「人によってはアクセサリーと言う人もいるだろ?」

「……」

言うか!?バカ!!