愛してるからこそ手放す恋もある


「そろそろ出掛けようかな?」

シャワーを済ませスーツ姿に着替えていた小野田さん。

「あのーどちらへ?」

「散歩」

スーツを着て散歩?

部長には24時間体制でと言われていた。
ってことはその散歩には私もお供しないと、いけないよね?

「私もお供しますので、少し待って貰ってもいいですか?一時間、いえ30分待ってください!」

「分かった。じゃ、新聞取ってきてくれる?」

「新聞ですか?」

「ああ、玄関のドアに掛かってる」

「は、はい!」

玄関の外側のノブに掛けられていた経済新聞と英字新聞を『どうぞ!』と渡すと、

彼は「後27分だな?」と腕時計を見て言った。

えっ!?
この時間も入るの??

「しっ失礼します!」と、慌てて小野田さんの部屋を後にした。

自室へ戻るとシャワーを浴び、慌てて支度をする。

「もうっ!出掛けるなら出掛けるって、もっと早く言ってよ!女には女の支度って物が有るんだから!」

あれ?
なんか出掛けるって言ってたような…?