愛してるからこそ手放す恋もある

カーテンの隙間から差し込む日射しで目が覚めた。

う゛…頭いたい…
昨夜どんだけ飲んだっけ?

久しぶりに飲んだから酔いの回りが早かった様だ。

でも、ちゃんと自分の部屋に帰ってこれたんだ?
良かった…良かった。

そう思うのもつかの間、自分以外の体温を感じる。

えっ
私の胸に顔を埋め寝る人がいるのだ。
…だれ…

恐る恐る少し離れれば顔が少し現れた。

男?
えっ!?

「ぎゃっーーー!!変態!!誰かぁ!?助けて!!」

私の叫び声で目を覚ました男は耳をふさいだ。

「うるせぇーな!?起こすなら、もう少し色っぽい起こし方で起こせ!?」と理不尽なことを言うのは小野田さんだった。

「どうして私のベットで寝てるんですか!?エッチ!ドスケベ!セクハラ男!」

防衛と怒りの為に側に合った枕で彼を叩いた。

「おい止めろ!落ち着け!良く見ろ!ここは俺の部屋だ!」

え?

良く見ろと言われて、辺りを見回したが、枕カバーから飛び散った羽毛だらけの部屋。それに私は自分の部屋がどんな寝室で、どんなベットが置かれているかなんて知らない。

「梨華落ち着いたか?」

梨華…?
落ち着いた?
まっまぁ落ち着いたかな…?
服も着てるし、なにも無かった様だし。

「梨華、コーヒー」

「え?私の淹れたコーヒーで良いんですか?」

「ああ、早くコーヒー淹れてくれ!飲んだら出掛ける」

どんな気持ちの変化が有ったんだろう…?

両手を上げ「久しぶりに寝たわ!」と言ってソファーに座る彼にコーヒーを淹れる事にした。

「あの…どういう気持ちの変化なんですか?」

「何が?」

もしかしたら、昨夜の飲みで気持ちの変化があったの?

「私の事信用してくれたんですか?」

「信用?俺が梨華の事を信用?ばかか!?信用するほどの事何かしたか?ただ、梨華の淹れたコーヒーなら飲んでも良いと思っただけだ」

なにさまだ!?
COO様だ!?ってか?淹れますよ!コーヒーくらい何時でも淹れさせて貰いますよ!

コーヒーと一緒に軽い朝食も用意したが、小野田さんは宣言通りコーヒー以外のものはいっさい口にしなかった。