そう言った上川くんの顔色は、暗くてよく見えなかったけど、表情から察するに、多分、赤くなってるんだと思う。 「上川くんでも勇気出ないことってあるんだね」 「上川くんでもってどういうことだよ!」 口調は抗議に満ちていたけど、顔は少し綻んでいた。 「そりゃオレだって、不安だったり、悩んだりするさ」 それを聞いて、ああ、上川くんは今、何か悩んでいることがあるんだと察した。 私と同じだ。