優しく穏やかな声で帰ってと
いつもなだめるおばさんがその日は違った
『雅也くんが莉子に会うことは
あの子を余計苦しめるのよ?!
せっかく忘れようと頑張ってるのに…
あなたがあの子の前に現れると
忘れようとしても蘇るのよ…!』
俺は何も気づいていなかった
俺の存在が莉子を苦しめていたと
『私達も分かってるのよ…………
雅也くんは犯人でもないし
莉子のことを昔からずっと可愛がって
愛してくれてることくらい……
でも、どうしても、あなたの顔を見ると
思い出すのよ…………!
どうしてあの日送ってくれなかったのって』



