理由もわからないのに、こんな態度をとられている俺の方がいい加減にしてくれと言いたい。

何か言いたいことがあるなら、立場がどうとか関係なくはっきりと言ってくれた方がすっきりとする。

そう彼女に言い返したい気持ちを我慢すると、
「俺が知っている香西さんはコーヒーが嫌いなんだ」
と、言った。

「えっ…?」

彼女は驚いたと言うように目を見開いた。

「香西さんはコーヒーが嫌いで、紅茶をよく飲んでいたんだ。

レモンティーやミルクティーの日もあったけれど、ストレートティーを好んで飲んでいたな」

「そ、そうなんですか…」

「だけども、今俺の目の前にいる君は紅茶じゃなくてコーヒーを飲んでいる」

俺は彼女の顔をじっと見つめると、
「君は誰なんだ?」
と、聞いた。