身内はもちろんのこと、友達にもできなかった身の上話を彼に打ち明けることができたから、気持ちがすっきりとしているのだろうか?

久しぶりに声をあげて泣いたからなのだろうか?

「あっ…」

紗綾は自分が泣いていた時にエリックに抱きしめられたことに気づいた。

今さらながら思い出したその出来事に、自分の顔から火が出るんじゃないかと思うくらいに熱くなった。

「いや、下心はないって言ってたし…。

ただ単に慰めるつもりだっただろうし…」

そう自分に言い聞かせてみるものの、顔の熱はなかなか冷めなかった。

(どうしよう、緊張してる…)

明日彼と一緒に出かける約束をしたので、当然のことながら顔をあわせることになる。

そう思ったら、心臓がドキドキと早鐘を打ち始めた。