“好き”がほしくて〜恋人未満のこの関係〜





「無理。」



そんな拒否されると逆にやりたくなってしまうのは私だけ?



なんて思いながらあとひと組で私たちの番だった。



だから……



私は誠の腕に絡みつく。



「……おい、話聞いてたのか。」



「聞いてたよ?でもやっぱお得じゃん!
それにそんな拒否されると逆効果ってやつ?」



私の言葉に誠は呆れ、離そうとしたけど…



「次の方どうぞ。」



とタイミングよく店員の声が聞こえ、そのままの状態でレジの前に立つ。



先に私の分を頼み、それから黙ってる誠に聞く。



「誠は?」
「……沙織と一緒のでいい。」



「じゃあ全部二つずつで。」



「かしこまりました。二人とも、美男美女のカップルですね!半額にさせていただきます。」



店員はそう笑顔で言ってくれた。
どうやら騙せたらしい。



まあこんなイケメンいたら信じる以前にまず疑わないよね。



その後店員からポップコーンなどが置かれたトレーを誠が受け取り、レジから離れる。



「おい、早く離れろ。」
「わかってるよ。」



誠があからさまに嫌そうな顔をしている。
というか不機嫌だ。



私も大人しく離れる。



「普通好きなやついるのにこんなことしねぇだろ。」



「そりゃ異性にはしないけど、誠は異性の対象じゃないからね。」



「それでも誤解されたらどうするんだよ。」



「大丈夫!
ほら、じゃあ行くよ!」



映画の上映十分前になり、開場するから私たちは中に入る。