だてに親友長くやってませんから、わかるときはわかるものだ。

ゆきのは深くため息を零して頬杖をついた。


「でもねぇ…なぁんか。ダメなのさ」

「何が?」

「康史君…好きな人いるっぽい~…」


そう言ってもう一度盛大にため息を吐くと両手で顔を覆うのだった。


でも、西野くんの好きな人って…

ふと、朝の玄関での出来事を思い出した。

私の隣にゆきのが居なかったことに疑問を持ち、どこか気になる様子だった西野くん。

ゆきのの話題を出すと慌て出し顔を赤くしてそれで。


「へへっ…まさかの」


私はニンマリと気持ち悪いほどの笑みを浮かべる。


「マキ気持ち悪いんだけど…」

「なんでもない。ちょっと思い出し笑い…」


だってだってだって…

要は両想いってことじゃない?

繋がってしまった事実に嬉しくて、ジタバタと足を動かす私。

そんな私を見てゆきのは「マキ…熱でもあるの?」と不安そうに顔を覗いてくる。


これは二人の問題だし、私が余計なことするわけにもいかないから黙って見守ることを決意するのだった。