ドアを開けて今の私の状態を見た准一さんは止まる。


「マキ……見せてごらん」

「へ……」


ぐいっと顎を固定され上を向き口の中に指を突っ込まれた。

「んっ?!」


いきなりのことに吃驚。

カッと目を見開いて准一さんを見つめた。


「…舌噛んだんだ。大丈夫?消毒しなきゃね」


ぇええええ?!

舌噛んだだけなのに消毒なんて必要なの?!


「らいひょーふっ!らいひょーふらから!(大丈夫っ!大丈夫だから!)」


ぐぐぐぐっ…と私の頭を固定する准一さんの腕を引き剥がそうと試みるが…無理。

男女の力の差、たかがしれていた。


「ダーメ。大人しくしてろよ?」


そして、ニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべて…

ぐんぐんとお綺麗な顔が近づいてきた。

それだけでバックンバックンと跳ね出す心臓。


「あっの……んっ!」


“黙って”

とでも言うように重ねられた唇。


押し込まれる准一さんの熱を持った舌に体が硬直。

ほんの少し、1分も経たないような出来事が私にとっては物凄く長く感じた。