「……ふ、…ふつ…っ」


どんな味?と聞かれても答えようがない私はぎゅっと瞼を閉じながらそう答えるしかなかった。


「……ふーん」


あっけなくパッと離された体。

准一さんはそれだけ言うとリビングから出て行ってしまった。


准一さんがいなくなったリビングでぺたり、とその場に座り込んでしまった私。

あんなの耐えられるわけがない!

ぎゅぅぅと制服の裾を掴んだ。



「よし…これで良いかな…」


学校へ行く準備を終わらせチラッと時計を見る。

あと…3分。

昨日から准一さんと朝一緒に登校することになった私は今日からどうしていいのやら…

悩みに悩んで…それでも解決出来ない。

准一さんのことが嫌い…とかっていう気持ちの問題じゃなくて、出来事に問題があったんだ。

頭を抱えて床に座り込んだ。

ホント…どうしようかな。

部屋で項垂れていると、コンコンと部屋をノックする音。


「ひゃ、ひゃい!」


慌てて返事をしたため馬鹿みたいに舌を噛んだ。

なんてマヌケなの……。

口の中に血液特有の鉄っぽい苦みが広がった。


「そろそろ行くよ?」