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ね、眠れなかった……。
起きた時に、自分はいつここに辿り着いていつ寝たのかも覚えていない状態だったのだ。
鏡で見た自分の顔の酷さに絶叫したのは記憶にある。
目の下の隈をコンシーラーで隠したような。
朝ご飯は………
「マキおはよう」
「ヒッ……お、は…よぉ…」
いつの間にか後ろに回っていた爽やか笑顔の准一さんに遭遇。
手にはコーヒーと新聞。
昨日の出来事が嘘のようにも思えた。
いや、これがいつもの風景なんだけど…
自分が一番そう思いたくて仕方なかったんだ。
でもその願いは叶うはずもなく。
「ねぇ…マキ。昨日の俺の味覚えてる?」
両肩に置かれた手に密着してきた准一さんの男らしい体。
思わずびくりと震えてしまった。
首元に回された腕。
「何緊張してるの…?ほら、答えて」
掻き上げられた髪から覗いた耳に口付けられ体が真っ赤になったのを覚えている。
俺の味……
……キスのことだよね?
やっぱり夢じゃなかった。
あれは本当にあった出来事だったんだ。