お母さんは海外、私は東郷さん宅。

だから使わないのは勿体無い、とママが部屋を他の人に貸してしまう約束をすでにしてしまったらしい。

私に逃げ場はなくなった。


「マーキちゃーん!ちゃんと荷物準備しておいてねー」

「うーん…」


ドア越しで聞こえたお母さんの声に枕で顔を埋めた篭る声で返事をする。

何もやる気が起きない。

荷造りとか準備とか…する必要ないでしょ。


「コラッ!いつまでウジウジしてるのよ。いいじゃなーい同居ぐらい」

「はー?!お母さん本気?!」


いつまで経っても行動を起こそうとしない私をどんどん足を鳴らし部屋へ遠慮なく踏み込んできた母親。

腰に手をあて、ベッドに沈む私を見下ろしていた。


年頃の娘とあんな7歳も離れた…

他人、じゃなくてこれから兄妹になる人と一緒にいきなり住み始めるなんて冗談じゃない。


「今日初めて逢ったんだよ?!なのに…お母さんと修哉さんの結婚だけでいいじゃない」

「ダメ!マキちゃん、一人じゃ絶対危ないのお母さんわかってるんだからね?」


親の勘。とかふざけたことを抜かす。