「私達はいつも4人でいるんです。夏休み中海に行ったメンバー。マキと私、私の彼氏ともう一人の男の子。その男の子がマキに過剰なスキンシップをとってる感じで…」
「ふーん…過剰なスキンシップ、か」
「今までじゃ考えられないような抱きつき方をしてたり。それで私、マキに聞いたんです"彼氏がいるのにいいのか"って」
「マキはなんて?」
「"からかわれてるだけだよ"って…」
どんな考えを持ってそんなことを言ったのか俺にはわからない。
ただ、何か隠したいことがあるには違いない。
きっとその男のことで、だ。
これは単なる俺の勘に過ぎないが。
「理事長は…嫌じゃないですか?自分の彼女が他の男にベタベタされるのって」
「嫌に決まってる。でもマキが何も言わないなら俺も言わない」
「そんな…」
眉を下げて悲しそうな表情をする。
ここが高校生の考え方と俺の考え方の違い。
マキから話を聞くまで待つんじゃない、相手の男の方を問い質せばいいんだ。
腕時計を見ると、HRの始まる10分前。
俺は彼女にありがとう、と言って別れた。


