「丁度良かったよ、俺も聞きたいことがあったから」

「いえ、こちらこそ朝からすみません」


こんな物まで、と手の中にある缶を見つめる。

校舎裏にある小さな自販機で買ったジュースは俺があげたものだ。


「で…あの子の様子が変なのはなんでかな、宮森さん?」



宮森 ゆきの。

マキと中学からの親友。

クラスも一緒で、外見は綺麗で高校1年生にしては大人っぽい。

俺が前マキと一緒にいて気になった奴と付き合っているらしい。

その他のことは生徒名簿で少し見させてもらった。


「私にもわからないんです。聞いても教えてくれないし、こんなの初めてで」

「へぇ、それは奇遇だ。俺も同じ」

「理事長だからマキのこと知ってるかなぁって思ったんですけど…誰にも言ってないんですね」


はぁ、と溜め息を吐いて俯く彼女。

友達までもここまで心配させるのだからそうとう厄介なことなんだろう。