―准一side―
目の前にはお茶碗を持ち、箸を口に銜えたまま離さない彼女。
いつもより目が虚ろでボーッとした様子。
よくよく行動に注目しながらご飯を食べていると、味噌汁の中に何を思ったのか醤油を入れる。
終いには苦手だと言っていたマヨネーズを野菜炒めに掛ける始末。
「それ、マヨネーズ…」
言ってもお構いなし。
俺の言葉が耳にまで届いてないらしい。
どうやらマキは何かに悩んでいるようだった。
いつもよりたっぷり時間を使ってご飯を食べ終え、お互いに学校に行く仕度を始める。
玄関で待っていると、鞄を引きずりながら制服に腕を通すマキ。
俺に話せないような大きな悩みでも抱えているのだろうか。
いってきます、と玄関を出て、エントランスを過ぎ車に乗り込む。
バタンとドアが閉まり、シートベルトを付けたところで俺は口を開いた。
「ねぇマキ。なんか悩んでる?」


