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「ぎゃー凪、離れてぇええ!」
「ゆきのだっていつもこうやってマキにくっついてるだろ?」
「あんたがやるのとは違うのー!」
私の後ろでぎゃあぎゃあ騒ぐゆきのの顔は真っ赤。
凪君は勝ち誇ったような笑みを浮かべてゆきのを見上げる。
私もされるがまま苦笑いを零した。
いつもと変わらない光景。
何の変哲もない日常の中、凪君と私だけが違う間柄だった。
友達から3日間限定の恋人。
だからそれを楽しむように凪君は私によく構うようになった。
現にいつもゆきのがする背中から抱きついて私の首に腕を回す行為。
今日は凪君がしてきているのだ。
「お前は康史に抱きつけばいいじゃん?」
「それとは違う!なんなのよ急にー!」
離れてーと叫びながら凪君の腕を引っ張るゆきの。
気づいてないかもしれないけど、それによって私の首も引っ張られるものだから苦しい。
お昼休みの時間になって、ゆきのに連れて行かれるがままトイレへ。
いつもより足早にズンズン歩く…怒ってるなぁ。
長年の間は当たる。


