少し眉を下げて笑うゆきのに素直に頭を下げた。

するとずっしりと頭を押さえつけてくる大きな手。


「まぁまぁ。宮森さん、これからもマキをよろしくね」

「もちろん。お2人のことはちゃーんと秘密にしておきますから」


どんな顔でお互い話しているのかわからないけど、押さえつけられたままの頭でちょっと首を上に上げれば、ゆきのが人差し指でしーっというポーズを作っていた。


「なんだ、知ってたんだ」


やっと手が離れた。

ボサボサになった髪の毛を指で梳く。


「さっき聞いたばかりです。でもマキを泣かせちゃダメですよ?」

「大丈夫大丈夫。なかせるのはアッチだけだから」

「もう、理事長ったら~」


お義兄さんから理事長へと呼称が変わっているがどちらにせよ間違いではない。

思わず耳を疑いたくなるような会話を繰り広げているものだから私は顔を真っ赤にするしかなかった。

アッチってなんだ、アッチって!



「でも…学校で二人あんまり会わないですよね」

「そうだね。俺は基本理事長室か外勤でいないから」

「家で会えるから大丈夫だよ」


そう返せば、ゆきのはいいなぁーとうっとりしたような顔になる。

ゆきだって、毎日西野君に学校で会えるじゃないか。