准一さんに手を握られ重い扉が開かれた。

ビュンッと一瞬だけ風が吹き、目を細めた。

そして目の前にあるキラキラとネオンを放つ大きなそれ。


「綺麗…」


私の目の前に大きな観覧車がそびえ立っていた。

ネオンで輝くロマンチックな雰囲気を醸し出す観覧車には、土日のせいか多くのカップルが写真を撮ったりしている。

テレビなどでもよく特集にされているここは私の憧れ。

でもなんで准一さんがこんなところを知ってふの?

隣を歩く准一さんを見上げれば、私の視線に気づき笑みを零す。


「前一緒にテレビでここのことやってただろう?だからマキ行きたかったのかなーって」

「すごい、超能力だ…」


そう返すより他なかった。

記憶にはないが、私は准一さんとこの観覧車をテレビで見ているらしい。

だから来てみたいことを知ってたというのか。

多くのカップルが並ぶ中、私たちもその列へと並び順番を待った。

そして何組かのカップルが幸せそうな会話をしながら通り過ぎるのを見送ったら、順番が回ってきた。


「どうぞー」と促されて開いた重厚な扉に向かって走り乗り込む。

准一さんも背中を屈めて私の後から乗り込み扉が勢いよく閉まった。

店員さんが「いってらっしゃいませー」と下で手を振る。