たくさん買い物もしたし、私も大満足。

こうやって准一さんと一緒にデート出来ただけでも幸せなんだからいいんだ。


「さーて、最後はとっておきのところへ行きますよ?」

「とっておきのところ…?」


てっきりこのまま家へと帰ると思っていたのだが、それは違ったようで。

車が発進して夜の街中を通る。

キラキラと光る街中は綺麗だった。

信号が赤に切り替わり准一さんは背中を屈めてミラーの下から上を覗く。


「あそこ。上見てみて」


促されて指差す方向へと私も見た。


うそ…───あそこに行くの?


街中にはよくゆきのと来ていた。

そしていつもあそこを見るたびに彼氏が出来たら絶対に行きたいよね、と話していた。

そんなところへ、准一さんと行けるなんて。

連れてってもらえるなんて。


大きなビルの立体駐車場に車を止めて、腕を引かれるまま足を進める。

同じエレベーターに乗り込んでいる何組かのカップルはこれからの見れるであろう絶景について、それぞれが楽しそうに話し込んでいる。

私は黙ったままエレベーターの階数がどんどん上がって行くのを見上げてた。


女の人の声がする機械音と共に扉が開き、乗っていた人が流れるように外へ出て行く。


「マキ」

「う、うん」