もういいかな、と踵を返してレジへと向かうとそこには既に准一の姿。
「准一さん!何して…」
「いいから。あ、これでお願いします」
私の制止も聞かずに財布から数枚のお札を店員さんへと渡してお会計を済ませてしまう。
「ありがとうございましたー」
「………」
店の前で店員さんがにこやかに頭を下げた。
持たされた華やかな柄のショッパーへと視線を移す。
…結局、渡したもの全部買ってもらってしまった。
「ありがとう…」
「どういたしまして。別に気にすることないよ、俺がプレゼントしたくて買ったんだから」
ショッパーの持ち手を強く握って、大事にしよう、そう思った。
***
時刻は午後7時。
いくら夏は日が長いといっても夏至を過ぎてしまえば暗くなっているもので、私と准一さんは車に乗り込んだ。
「楽しかったね」
「ああ、久しぶりに一日中ゆっくり出来たと思う」
お互いシートベルトを締めながら笑う。


