そして准一さんは何を思ったのか、キョロキョロと店内を見渡すと手招きをした。
一人の店員さんが小走りで私たちの元へとやってくる。
「いかがなさいましたか?」
「この服、とりあえず全部キープで」
「かしこまりました」
「へっ!??」
私の腕に掛けてあったいいなぁと思った服を全部持っていかれてしまった。
准一さんは腕組みをして私を見つめてあれこれと私に服を当てて唸る。
店員さんが准一さんの隣に並んだ。
「可愛らしいですね。これ昨日入ったばかりなんですよ。とてもお似合いです」
「うん、いいね。これ」
准一さんも店員さんの言葉に頷きながら、私のつま先から頭のてっぺんまで見上げた。
私が気になったのは准一さんに対する店員さんの態度だった。
准一さんを見る目が…ちょっと違う気がする。
頬を赤らめてちょっと媚びた感じ。
そりゃぁ確かにカッコイイけど、そんな見つめないで欲しい。
私がちょっと離れたところで服を選んでいても楽しそうに話す声が聞こえてくるので耳障りだった。


