二人が少し言い合いになりながらも楽しそうに話しているものだから、私はそこを少し離れて店内を回ってみた。

それでもやっぱり気になってしまうのはさっきの店員さんの話。

やっぱり准一さんには他に素敵な人がいるのかもしれない。

家でいつもするキスもそれ以上のコトも…

単なる気まぐれか、私の気持ちに気づいてだったのかも。

そう思うときゅーっと胸が圧迫されたみたいに苦しくなって今にも涙が溢れてきそうだ。


ダメ、こんなところで泣いたりしたら…

せっかくの楽しいデートなんだもん、泣くなら帰ってからでもいくらでも出来る。

今だけは…我慢しよう。

何度か深呼吸を繰り返して目元を拭った。


すると、マキ!と准一さんに名前を呼ばれて一瞬ビクついたが平然を装って振り向く。

准一さんは買い物を済ませたようで、腕にショッパーを掛けて財布をしまっているところだった。

私は傍まで駆け寄りショッパーへと視線を向ける。

私、ちゃんと笑えてるかな…?


「准一ありがとーね。彼女さんまた連れて来てよ」

「誰がお前にわざわざ見せびらかしに来るかよ。じゃーな」


そう悪態を付きながらもやっぱり准一さんはどこか楽しそうで、そんな准一さんを見れて私も顔を綻ばせた。