「どう?それ、今期の新作なんだけど」

「ああ、悪くない。さすがだな」


俺のセンスよくわかってるよ、と肘で店員さんを小突くと悪戯な笑みを浮かべた。

准一さんもこんな顔するんだ…

見たことも無い楽しそうな准一さんをただただ黙って見つめていた。

先にそんな私に気づいたのは店員さんの方で。


「准一。彼女さんめっちゃ困ってる」


ポンポンと准一さんの肩を叩いて、私を指差す。


「悪い悪い。紹介するよ、俺の高校時代のやつでこの店のデザイナーやってんの」

「デザイナーさん!」


そうなんだ、高校の時のお友達…確かに言われてみれば准一さんと似たような年齢だ。


「初めまして、彼女さん。准一の彼女って大変じゃない?こいつ意外とワガママで強引だしめんどくさいし」

「い、いえ…」


“彼女”か…本当は違うんだけどなぁ。

周りからみたら私たちってそういう風に見えているのかな?

少しだけ複雑な感情が渦巻いた。


「お前勝手なこと言うな」

「だってそうだろ。その性格で何人の女泣かしてきてんのか」

「……!」


思わず動揺してしまった。

そうだよね…准一さんの年なら今まで何人かの女の人と付き合ってきてもおかしくはない。